海はどこかで

遥かむかし僕たちの祖先は
海から陸へと上がった
海の中だってたぶん気持ちよかったハズだけど
海面から見える陸地への好奇心が
陸へと向かわせたのかも知れない

背中に直接当たる日光
ふぶく風に乾いていく皮膚
まっすぐ届く音に
はっきり見える景色
きっと何もかもが新しくて
それは一体どんな感じだったんだろう

きっとそれは
不安と希望が一緒くたに押し寄せてきて
泣きたくなるくらいに驚きに溢れていて

だから僕たちも産まれたときに
思わず泣いてしまうんだろう
人類の進化の過程を
母親のおなかの中で一気に歩んできて
そして産まれる その瞬間に

海から生まれた僕たちの体は
大体65%が水分でできていて
生きてゆくためにミネラル分を必要としている

僕たちが今、生活している陸地は
地球上の約30%を占めていて
残りの約70%が海としてそこにある

僕たちが海から生まれたからなのか
そうじゃないのか
地球の表面積に占める海の割合と
僕たちの体内での水分の割合は
同じくらいで保たれている

海上でできた雨雲は
僕らの頭上で雨を降らし
その水を飲んで僕たちは生活している
川を流れた水はまた海へと流れ出て
いつしか僕たちの体の中に入ってくる

大きなサイクルの中で
命の鼓動が打たれ続ける
難しいことを云わなくたって
僕たちは感覚で感じられる

同じサイクルの中で生き続ける
海という母から生まれた僕たちは
きっとどこかでつながっている
そう信じて何が悪いだろう

それに

陸地よりも海面の方がずっと広いから
海は必ずつながっている
どこへ行っても必ず
だから
どんなに離れていても
海辺に行きさえすれば、海を介して
僕たちはつながり合うことができる

それが島根と東京でも
大分とシドニーでも
どこだって いつだって
海はどこかでつながっている